の第一印象ですか?
そうですねぇ・・・何処かほっとけない、そんな感じでしょうか。
それ以外?
・・・可愛いなぁって最初から思っていましたよ。
「えっと・・・まだ時間ありますね。」
僕は午後から始まるミーティングまでの時間をどうやって潰そうかと考えながら、何気なく食堂の方へ歩いて行った。
すると食堂の入り口で自分よりも小柄な少年を見つけて思わず立ち止まった。
この艦で働いているのは大抵が大人で、僕やアスラン達のような少年はあまり乗っていない。
その関係で僕よりも身長の低い少年はいないと認識していたんですが。
「・・・新人さん、でしょうか。」
ちょっと興味を抱いてそのまま様子を見ていると、食堂の中に入りたいのに中々入る事が出来ず四苦八苦している姿が目に入った。
勢い良く飛び込むが、人の流れに押し戻されて廊下へ逆戻り。
深呼吸をして一歩一歩確実に中に入るが、すぐに何かに怯えるように廊下へ逆戻り。
・・・何をそんなに躊躇ってるんでしょう?
さり気なく彼の後ろを通って食堂の中をチラリと覗く。
「・・・あぁ、なるほど。これは確かに入りにくそうですね。」
食堂の中には体格のいい整備工の人間が所狭しと座って食事をしていた。
チラリと壁に掛けられている時計を見れば整備工の人達の昼食時間とちょうどぶつかっている事に気付いた。
それならば別の所で食事を取ればいいのに・・・そう思いながらも妙にムキになって挑んでいく彼の姿がやけに印象的で・・・思わず声を掛けてしまった。
「お食事ですか?」
「・・・え?」
「もし良ければご一緒させていただけませんか?」
にっこり笑ってそう言うと、彼はホッとした表情を浮かべ何度も頷いた。
「大体こんな所ですね。」
「どうもありがとうございました。」
食堂の使い方を簡単に教えながら空いている端の方の席に二人並んで座った。
彼はどうもここで食事をした事がなかったらしく、どうしていいか全く分かっていませんでした。
こんな状態で中に入って・・・どうやって食事を取るつもりだったんでしょう。
「こうして他の方と食事をするのも初めてです!」
「そう・・・なんですか?」
この艦は食堂以外でちゃんとした食事を取るような場所は案外少なくて、ここの物を外部へ持ち出す事も一応禁止とされているんです。
まぁ様々な精密機器や大量のデータがありますし、こっちが一生懸命シュミレーションしている側で食べられたりすると気が散るから構いませんけどね。とは言え、上の方々は自室に食べ物を持ち込んだりして好き勝手してるみたいですけど・・・。
あれ?でもそうすると彼は一体今まで何処で食事を取っていたんでしょう?
最近艦に乗られたばかり・・・と言う事ですか?
疑問が次々わいてきて聞いていいものかどうか悩んでいる時、急に彼がスプーンをお皿に戻して僕にペコリと頭を下げた。
「え?!」
「すみません!こんなにお世話になったのに、ご挨拶が遅れて・・・僕は、・、医局に勤務しています。」
礼儀正しい人ですね。皆がこうだと・・・いいんですが。
そう思いながら僕も彼に自己紹介をした。
「僕はニコル・アマルフィ、クルーゼ隊に所属しています。」
握手の為差し出された手を握って・・・思わず動きが止まってしまいました。
僕とは違う・・・柔らかくて小さな手。
まだ成長期だとは言え自分の手はかなり小さい方だと思っていたから僕よりも小さい手は何だか妙な気がしました。
そんな自分の戸惑いを隠すかのようにさっきまで聞こうか悩んでいた事を口にする。
「えっと・・・はいつもどこで食事を取ってるんですか?」
「僕ですか?」
「えぇ、ここ以外にちゃんとした食事を取るスペースは無いでしょう?」
「えっと・・・その・・・ニコルさんは口堅いですか?」
「え?・・・えぇ、機密事項を漏らすような事はしませんよ。」
「それじゃぁ内緒にして下さいね?」
そう言って人差し指を自分の口元に当てて真剣な顔をしたは、身なりとは違って全く幼い子供のようで・・・危うく吹き出しそうになった。
「・・・えぇ内緒にします。」
僕が頷いたのを確認するとは僕の耳元へ顔を寄せてそっと教えてくれた。
その内容は思わず声を上げてしまいそうになるくらいのもので・・・僕は自分の口を両手で覆ってそれが洩れるのを必死で押さえた。
「・・・本当ですか!?」
「はい、近々皆さんにも報告があると思います。」
噂では聞いていた。
今まで秘書をつける事を頑なに拒んでいた隊長が、急に秘書をつける事になったと言う話を。
それを聞いたディアッカが絶対に秘書は女性だと言い、イザークは隊長が選んだのだから優秀な人間だろうとも言っていた。
ただアスランだけはボーッと何処か遠くを眺めていて、僕が声を掛けるとただ困ったように笑っていたのが印象的だった。
噂の人物が・・・この、少年?
驚いて思わず彼を凝視していると、徐々に顔が赤くなっていく事に気付いて首をかしげた。
「あの・・・ニコルさん、そんなに見られると食べにくいんですけど・・・」
「あ、すみません。つい・・・」
・・・どうしても信じられなくて固まってしまった、何て言えませんね。
「ところでニコルさん、そろそろミーティング開始15分前ですけど大丈夫ですか?」
不意にが自分の付けている腕時計を指差してにっこり笑ったので、つられるように文字盤を見た。
「大丈夫ですよ、5分前に行けばイザークの機嫌も悪くなりません。」
「でも今日は隊長もミーティングに出席されますよ?」
「・・・え?」
「僕が予定を組んだんですから確かな情報です。」
隊長がミーティングに来るなんて誰も言っていなかった。
来るのであれば午前中のシミュレーションの時、イザークが遅れないよう全員の耳にタコが出来るくらい言っているはずですし・・・。
それから僕の頭は午後のミーティングでの自分の発言について考えるので精一杯だった。
隊長が来るとなるともう少し発言内容を考え直した方がいいかもしれない。
僕は勢いよく席を立つと彼の方を振り向いた。
「どうもありがとうございます。片付け方は大丈夫ですね?」
「はい!何から何までありがとうございました。」
「こちらこそ、貴重な情報ありがとうございます。」
「頑張って下さい!」
「えぇ、貴方も・・・」
そう言うと僕はすぐに食堂を飛び出し、ミーティングが行われる部屋へ急いだ。
それから数日後、医局のが隊長の秘書を兼務すると正式に発表があった。
そしてがアスランの幼馴染だと言う事を知って、艦内で会う度に挨拶をしてよく話をするようになった。
暫くして隊長と一緒に僕らの訓練を見ていた時・・・気付いたんです。
が男の子ではなく、女の子だと言う事に。
気付いた原因がアスランを見ている時のの表情だって言うのは、僕の秘密ですけどね。
第一印象ニコル編
難産・・・他の二人は書いた事が無かったので案外簡単にいったんですが、ニコルは難しい(TT)
ニコルが過去形で勝手に喋り始めちゃって上手く動いてくれなかったんですよっ!!
いつもだったら結構すぐに書けるんですけどね・・・それでも何とか書き上げられてちょっとホッとしたのはこの私。
さってと・・・次は、誰?SEEDが終わるまでに全員書けるかな(笑)←首絞めてる?